なぜ?ミスコン式観光レディ制度がなくならない2つの要因と変更の必要性とは?

こんにちは、前職は観光協会で局長をしていたnomiです。

先日(2023.4.7付)河北新報のこんな記事がYahooニュースで話題になりました。

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全国的に見ても、こうした”未婚女性”を募集要件としたミスコン式の観光レディ制度を継続している自治体は多いのではないでしょうか。

実は私も観光協会局長時代に、観光レディの募集条件に疑問を呈し「観光レディ制度」の廃止と制度改正を実施した経験があります。

提案から約2年後に地元の観光レディ制度は廃止され、性別・婚歴・年齢(18歳以上)の制限を外した「観光アンバサダー制度」に移行しました。

多様性が重要視されるこのご時世においても尚、”未婚女性”に限定したいわゆる「ミスコン式観光レディ制度」がなくならないのはなぜでしょうか?

今回は私が制度変更を提案実行した経験を通して感じた2つの要因と、今後この制度は変更する必要があるのかについて紹介していきたいと思います。

”未婚女性”条件がなくならない2つの要因

これだけ多様性を重んじようと言われる時代にありながら、今も尚”未婚女性”を募集対象とした「ミスコン式の観光レディ制度」はなぜなくならないのでしょうか?

私が初めて観光レディ制度の廃止と観光PR人材の募集要件について改正を提案した際、時代背景も含め改正が必要だとの考え方は理解してくださったのですが、性別条件の撤廃にはすぐに同意は得られませんでした。

お話を伺っていくと、変更に踏み切れない2つの要因があることが分かりました。

①未婚女性へのアンコンシャスバイアス

一つ目の要因は、未婚女性に対するアンコンシャスバイアスが存在していることです。

観光レディの主な仕事は、観光地や広報媒体においてその土地の観光の魅力や情報を宣伝PRすることですが、多くの方がこの状況を思い浮かべる時に「若い女性がPRすることで場が華やぐ」というイメージを無意識に持っていました。

私が、他県にはすでに早くから観光レディ制度を廃止し、男女で観光アンバサダーを務める自治体もあることを実例としてお話した際、

理解はできるが、イメージが湧かない。若い女性がその場にいてPRをしたり来場者と触れ合う方が華やぐ気がする。

と率直に述べてくれた役員の方もいました。

”未婚の女性”と聞いただけで、無意識に若年層女性を思い浮かべ、さらにそこには明るさや柔らかさ、はつらつとして健康的といったアンコンシャスバイアスを抱いていることが分かります。

これは当然過去の実績から想起しているということもありますが、高年齢化している役員の中には、制服を着て何かを案内するという姿が、一世代前の”エレベーターガール”や”受付嬢””バスガイド”といった職業から連想して観光レディのペルソナを描いているようにも見受けられました。

②弊害を感じない、実害がない

二つ目の要因は、未婚女性を応募条件にすることに対して実害や弊害がないこと、もしくは運営側がそれを感じ取れていないことです。

冒頭の記事中にもあるとおり、特別な理由はなく慣例に従って継続してきた」という声が未だにミスコン式観光レディ制度が続く大きな理由ではないかと思います。

いわゆる「要件変更の必要性を感じていないから変更しない」ということですが、未婚女性を要件とすることに本当に弊害はないのでしょうか?

本当に弊害はないのか?

私も10年近く観光レディ制度の運営に携わってきましたが、未婚女性を要件とすることへの弊害は少なからず存在します。

もし運営側が弊害を感じていないということなのであれば、それは観光レディ当人たちとのコミュニケーション不足か管理体制が甘いのではないかと個人的には感じてしまう程です。

私が実際に見てきただけでも、執拗に長い握手を求められる、恋人の有無や結婚の可能性を聞かれる、酔って抱きつかれるなど、すぐ隣で職員がアテンドをしていてもこうしたトラブルが発生します。

一番酷かった時には、運営側にラブレターが届き、個人の連絡先を教えてほしいと書かれていたり、たびたび無言電話が来るなどしてストーカー被害に発展しそうになり、警察に相談にいったこともありました。

このため運営側もかなり気をつけてアテンドし、就任時には当人たちとしっかり面談して約束事を決めたり、すぐに相談できるような体制を整えていましたが、人口わずか5万人程度の町においても少なからずこうしたトラブルはつきものでした。

こうした行為は観光レディ当人たちの捉え方も違うため、わざわざ運営側に報告しないこともあると思いますが、”未婚女性”であるが故に大なり小なり何かしらの実害を感じたことは誰でもあるでしょう。

運営側がそれを「変更の必要性を感じない」と言えるということは、こうした弊害を把握できていないだけで、目に見える実害があって初めて変更を検討するというかなり後手に回った判断になることは間違いありません。

変更の必要性は?

では今後、このミスコン式観光レディ制度は要件を変更するべきなのでしょうか。

私は「変更するべき」だと考えています。

その理由は観光レディ制度の本質と時代背景にあります。

観光レディ制度の本質

そもそも、観光レディ制度は地元の観光資源や情報を町全体や他の自治体に広く知ってもらい、結果として交流人口増加に寄与する活動をすることが目的とされています。

「地元の魅力を多くの方に知ってもらって、遊びに来てもらう」これを叶えてこそ観光PR人材としての役割が果たされるわけです。

ということは、地元の魅力を多くの人に発信できる手段や能力、実感を持って魅力のPRができる熱意や、話に引き込む力を持っていることが最も必要な条件と言えるのではないでしょうか。

地元の方言を使う元気な高齢者、安くて美味しい新鮮食材を見つけるのが得意な主婦・主夫、仕事と趣味を謳歌しながら暮らす男性など、”未婚女性”ではなくともそれぞれの立場や視点でPRする方がよっぽど独自性のある宣伝ができ効果も期待できるのではないでしょうか。

変わりゆく時代背景

時代の変化と共に、個人のあり方を尊重する多様性の背景はもちろんのこと、特に観光業界においてはPR方法の変化にも敏感に対応する必要があります。

2020年のコロナ禍以降、ご存じの通り観光業界は大きく潮目が変わりました。

飛行機などの交通機関を利用した遠出が制限されたことでインバウンドは完全ストップし、近隣県に日帰りで訪れるマイクロツーリズムが台頭したことで、InstagramをはじめとしたSNSでのPR合戦が繰り広げられ、ハッシュタグや検索ワードから引き出される観光情報は圧倒的に増えています。

また情報だけでなく、オンライン上で観光動画を見ながら話をしたり同じ特産品を口にする等、一緒に旅行している気分が味わえるオンラインツーリズムやイベントなどのサービス商品もその気軽さが人気を博しており、これはコロナ禍の制限の有無に関わらず今後も継続の動きを見せています。

実質、観光レディがこれまで現地に出向いてPRをしていたようなイベントは今も尚、減少傾向にあります。

インバウンドの盛り上がりで素地はあったとはいえ、アフターコロナにおいては国内観光客をターゲットとする市場でもオンラインを活用した情報発信やサービスの提供は必須となっており、これからの観光PR人材にはこうした発信力や求心力が求められているのです。

決してミスコン式観光レディ制度が悪いということではありませんが、溢れかえる情報の中で自治体の独自性あるPRが出来なければ本来の観光振興の目的を果たすことはできません。

自治体の補助金で運営されていることも多い観光レディ制度は、活動の目的と内容、それに対する成果を見極め、過去の実績ではなく今後の可能性を踏まえた上で抜本的に見直しを図る必要がありそうです。

まとめ

いかがでしたか?

今回は、全国の自治体でミスコン式観光レディ制度が続く背景と今後の変化の必要性について、私の経験を基に紹介しました。

前述の通り、決して”未婚女性”やミスコン式観光レディ制度が悪いということではありません。観光PRをする人材として、その要件に明確な必要性があり、成果があげらているということであれば問題ないとも言えます。

しかし、時代の変化や今後の観光振興に求められる必要な人材を分析していくと、必ずしも”未婚女性”である必要はないことが分かります。

SDGsに『ジェンダー平等の実現』が掲げられ、自治体が多様性の尊重に理解があるかどうかはこうした制度一つ取っても注目されます。

「目立った弊害がないから、慣例的に継続する」こうした姿勢を続けていくと、思いがけず自治体そのものの印象を下げることにも繋がりかねません。

これは企業においても同様で、慣例的になっていて見直す必要性を感じていないことでも意識的に振り返り、その本質を見極める必要がありそうです。

プロフィール
このサイトの管理人
川野 美紗子

Local Career Mate 代表
宮崎県在住のキャリアコンサルタント/インターンシップコーディネーター
若年層の女性管理職の経験を基に、地方✖️女性✖️キャリアに関する情報発信やアドバイス、コンサルティング等を行っている。
個人・企業向けキャリアコンサルティング、実践型インターンシップの企業伴走、キャリア教育や人材支援に関する研修講師やファシリテーター、キャリア記事の執筆などを行なっている。

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