キャリコン受験生も必見!何が変わった?キャリアコンサルタント倫理綱領改定内容まとめ

こんにちは。

キャリアコンサルタントの川野です。

キャリアコンサルタント資格所有者は年々増加していますが、今年の元旦に『キャリアコンサルタント倫理綱領』が改定されたのはご存じでしょうか。

2016年に国家資格になってから8年ほどが経過した今、様々な時代変化を踏まえてキャリアコンサルタントとしての在り方を示すこの『倫理綱領』が今回大きく改定されました。

これまでの内容をベースとしながらも、変更点や追加点があるため、現役のキャリアコンサルタントはもちろんのこと、資格所有者やこれから国家試験に挑まれる受験生の方もその内容は一読しておく必要があります。

そこで今回は、この『キャリアコンサルタント倫理綱領』がどのように改定されたのか、そのポイントとどこが変わったのかをまとめてみました。

倫理綱領とは

平成28年(2016年)にキャリアコンサルタントが国家資格になったことを受け、特定活動非営利法人キャリアコンサルティング協議会がキャリアコンサルタントとしての基本的姿勢や職務遂行上の行動規範をまとめたものが”倫理綱領”です。

平成28年に示された最初の倫理綱領は、国家資格化直後ということもあり、キャリアコンサルタントとは何であるか、どうあるべきかといった解説的な意味合いが強く、文章構成も抽象的で堅い印象があります。

今回の改定のポイント

改定された倫理綱領を読むと、以下のようなポイントが見えてきます。

  • キャリアコンサルタント国家資格所有者の増加を背景に、抽象的な表現を減らし、より具体的な文言と項目の細分化が図られている。
  • 多様性やDX化等の時代変化に伴う社会情勢を反映した。
  • 企業内に勤務、または活動するキャリアコンサルタントの増加を背景に、組織内キャリアコンサルタントの活動や在り方について言及している。

改定前が全12条23項目だったのに対し、改定後の今回は全13条26項目になっています。

改定前のものをベースとしていますが、よりわかりやすく具体的な文言が挙げられているのが印象的です。

”多様性””技術”等の文言が見られるのも時代の変化を受けたものでしょう。

相談の実施方法についても、対面のみならずコロナ禍を経てオンラインシステムなどの活用が選択肢の一つとなったこともあり、こうした点からも技術進化に意識を持つことが促されています。

また、2023年6月独立行政法人労働政策研究・研修機構が発表した「第2回キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」では、第1回の調査と比較して”需給調整機関領域のキャリアコンサルタント”が2割まで減少、対して”企業領域で活動するキャリアコンサルタント”が全体の約4割まで増加していることが報告されています。

こうした企業と密接な関係性を築くキャリアコンサルタントが増えたことも改定の背景として特徴的です。

改定内容

ここからは、実際の倫理綱領のどこが変わったのか詳細を見ていきます。

今回の改定で追加された単語や文言、言い換えられた表現など特に重要なポイントとなる箇所を赤字で表示しています。

注)特定活動非営利法人キャリアコンサルティング協議会が定める『キャリアコンサルタント倫理綱領』を引用しています。

序文・前文

時代の変化に伴い、新しい働き方の拡大とその実現のため、社会をリードするキャリアコンサルタントへの期待は更に高まり、社会的責任も増しています。多様な相談者や組織からの求めに応えるため、キャリアコンサルタントには、倫理観と専門性の維持向上が必要不可欠です。加えて自らの人間性を磨き、矜持と責任感を持ち、自己研鑽に励むことが何よりも重要です。
特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会は、キャリアコンサルタントの使命・責任の遂行、能力の維持向上、社会インフラとしてのキャリアコンサルティングの普及・促進に会員団体と共に取り組んでおります。この使命を果たすため、キャリアコンサルタント及びキャリアコンサルティング技能士が遵守すべき倫理綱領をここに改正します。
本倫理綱領が、キャリアコンサルティングに従事する全ての方々の日々の活動の指針・拠り所となることを期待します

特定活動非営利法人キャリアコンサルティング協議会『キャリアコンサルタント倫理綱領』

まずは序文。

前回は国家資格化直後だったこともあり、キャリアコンサルタントとは何か、どうあるべきかといった解説的な意味合いの強い文章でした。

それが今回は、時代の変化とともにキャリアコンサルタントに社会的なニーズや期待が高まったこと、国家資格所有者が増えたこともあり、その人間性や心構えを内包する”キャリアコンサルタントとしての在り方”に言及しています。

本倫理綱領では、キャリアコンサルタントが、職業能力開発促進法に則り、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行い、使命である相談者のキャリア形成の支援と、その延長にある組織や社会の発展への寄与を実現するために、遵守すべき倫理を表明する。
本倫理綱領では、第 1 章をキャリアコンサルタントとしての基本的姿勢・態度、第 2 章を行動規範として明示している。全てのキャリアコンサルタントは、本倫理綱領を遵守すると共に、誠実さ、責任感、向上心をもって、その使命の遂行に励むものとする。

特定活動非営利法人キャリアコンサルティング協議会『キャリアコンサルタント倫理綱領』

そして、前文ではキャリアコンサルタントが職業能力開発促進法を根拠とするものであることが明言されました。

また、前回と同様の内容ながらも、キャリア形成が個人→組織→社会へと発展的に尽力するものであることを示しています。

さらには”向上心”という単語が追加され、時代変化とともに変わるニーズにも常に応えられるよう学び続ける必要があることを指しています。

第1章 基本的姿勢・態度

第1条(基本的理念)
  1. キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティングを行うにあたり、人間尊重を基本理念とし、多様性を重んじ、この尊厳を侵してはならない。
  2. キャリアコンサルタントは、相談者を人種・民族・国籍・性別・年齢・宗教・信条・心身の障がい・文化の相違・社会的身分・性的指向・性自認等により差別してはならない。
  3. キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティングが、相談者の人生全般に影響を与えることを自覚し、相談者の利益を第一義として、誠実に責任を果たさなければならない。
特定活動非営利法人キャリアコンサルティング協議会『キャリアコンサルタント倫理綱領』

基本的理念を示した第1条では、前回の第3条(信頼の保持・醸成)の内容と統合しながら、社会の多様性を十分に意識した内容となっています。

第2条(品位および矜持の保持)

キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルタントとしての品位と矜持を保ち、法律や公序良俗に反する行為をしてはならない。

特定活動非営利法人キャリアコンサルティング協議会『キャリアコンサルタント倫理綱領』

品位とその保持について示した第2条は、今回の改定の中でも特に印象的な”矜持(きょうじ)”という単語が使われています。

矜持とは、プライドや自尊心を表す単語です。

これまでは”誇り”という表現が使われていましたが、今回の改定からこの”矜持”という言葉が用いられ、より強いメッセージ性を感じます。

第3条(社会的信用の保持)

キャリアコンサルタントは、常に公正な態度をもって職責を果たし、専門職として、相談者、依頼主、他の分野・領域の専門家や関係者及び社会の信頼に応え、信用を保持しなければならない。

特定活動非営利法人キャリアコンサルティング協議会『キャリアコンサルタント倫理綱領』

社会的信用の保持について示した第3条は、前回の第3条1項をより具体的に改めています。

第4条(社会情勢の変化への対応)

キャリアコンサルタントは、個人及び組織を取り巻く社会・経済・技術・環境の動向や、教育・生活の場にも常に関心を払い、社会の変化や要請に応じ、資格の維持のみならず、専門性の維持向上や深化に努めなければならない。

特定活動非営利法人キャリアコンサルティング協議会『キャリアコンサルタント倫理綱領』

社会情勢の変化への対応を示した第4条は、前回の第4条2項の内容をより具体的に改めています。

第5条(守秘義務)
  1. キャリアコンサルタントは、業務並びにこれに関連する活動に関して知り得た秘密に対して守秘義務を負う。但し、相談者の身体・生命・の危険が察知される場合、又は法律に定めのある場合等は、この限りではない。
  2. キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティングにおいて知り得た情報により、組織における能力開発・人材育成・キャリア開発・キャリア形成に関する支援を行う場合は、プライバシーに配慮し、関係部門との連携を図る等、責任をもって適切な対応を行わなければならない。
  3. キャリアコンサルタントは、スーパービジョン、事例や研究の公表に際して、相談者の承諾を得て、業務関して知り得た秘密だけでなく、個人情報及びプライバシー保護に十分配慮し、相談者や関係者が特定される等の不利益が生じることがないように適切な措置をとらなければならない。
特定活動非営利法人キャリアコンサルティング協議会『キャリアコンサルタント倫理綱領』

キャリアコンサルタントでも特に需要な守秘義務について示した第5条では、新たな項目が追加されました。

組織内キャリアコンサルタントの増加を受け、普段から関わりのある社員とのキャリアコンサルティング実施を想定して、組織との関わり方を具体的に示しています。

第6条(自己研鑽)
  1. キャリアコンサルタントは、質の高い支援を提供するためには、自身の人間としての成長や不断の自己研鑽が重要であることを自覚し、実務経験による学びに加え、新しい考え方や理論も学び、専門職として求められる態度・知識・スキルのみならず、幅広い学習と研鑽に努めなければならない。
  2. キャリアコンサルタントは、情報技術が相談者や依頼主の生活や生き方に大きな影響を与えること及び質の向上に資することを理解し、最新の情報技術の習得に努め、適切に活用しなければならない。
  3. キャリアコンサルタントは、経験豊富な指導者やスーパーバイザー等から指導を受ける等、常に資質向上に向けて絶えざる自己研鑽に努めなければならない。
特定活動非営利法人キャリアコンサルティング協議会『キャリアコンサルタント倫理綱領』

自己研鑽について示した第6条も今回の改定の特徴的な変化がありました。

自己研鑽についてより具体的な文言を用いて示された他、第2項ではDX社会への動向を注視して、情報技術の習得に努めることの必要性が明言されています。

第7条(信用失墜及び不名誉行為の禁止)
  1. キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルタント全体の信用を傷つけるような不名誉となる行為をしてはならない。
  2. キャリアコンサルタントは、自己の身分や業績を課題に誇示したり、他のキャリアコンサルタントまたは関係する個人・団体を誹謗・中傷してはならない。
特定活動非営利法人キャリアコンサルティング協議会『キャリアコンサルタント倫理綱領』

信用失墜と不名誉行為について示した第7条では、前回の第6条を踏まえつつ、1項には新たな文章が加わりました。

これも、キャリアコンサルタントの資格所有者が増加したことが背景にあると見られ、国家資格者であることへの責任を持つことを示唆しています。

第2章 行動規範

第8条(任務の範囲・連携)
  1. キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティングを行うにあたり、自己の専門性の範囲を自覚し、その範囲を超える業務や自己の能力を超える業務の依頼を引き受けてはならない。
  2. キャリアコンサルタントは、訓練を受けた範囲内でアセスメントの各手法を実施しなければならない。
  3. キャリアコンサルタントは、相談者の利益と、より質の高いキャリアコンサルティングの実現に向け、他の分野・領域の専門家及び関係者とのネットワーク等を通じた関係を構築し、必要に応じて連携しなければならない。
特定活動非営利法人キャリアコンサルティング協議会『キャリアコンサルタント倫理綱領』

任務の範囲・連携について示した第8条では、自己の能力を自覚した上で業務に取り組み、他の専門家との関係性によるリファーの活用について言及されています。

国家試験の受験生も注目

特に2項のアセスメントの活用については、これからキャリアコンサルタント国家試験を控えている受験生にも関係するところです。

私も国家試験の実技試験サポートを行なっていますが、面接後の口頭諮問や論述の支援・展開について、アセスメントツールの名前を上げる受験生を多く見かけます。

しかし、その内容について細かく聞くとその使い方を理解していない人が多いのも事実です。

試験を意識しすぎて、詳細や使い方の分からないアセスメントツール名を上げるよりも、現在の自分の実力に応じて方策を展開できる方が、キャリアコンサルタントの在り方として適切だといえるでしょう。

第9条(説明責任)
  1. キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティングを行うにあたり、相談者に対して、キャリアコンサルティングの目的及びその範囲、守秘義務とその範囲、その他必要な事項について、書面や口頭で説明を行い、相談者の同意を得た上で職責を果たさなければならない。
  2. キャリアコンサルタントは、組織より依頼を受けてキャリアコンサルティングを行う場合においては、業務の目的及び報告の範囲、相談内容における守秘義務の取り扱い、その他必要な事項について契約書に明記する等、組織側と合意を得た上で職責を果たさなければならない。
  3. キャリアコンサルタントは、調査・研究を行うにあたり、相談者を始めとした関係者の不利益にならないよう最大限の倫理的配慮をし、その目的・内容・方法等を明らかにした上で行わなければならない。
特定活動非営利法人キャリアコンサルティング協議会『キャリアコンサルタント倫理綱領』

説明責任を示した第9条では、説明を行う手段について具体的に示された他、第2項は新たに組織との関わる際の合意形成について明言されました。

第10条(相談者の自己決定権の尊重)

キャリアコンサルタントは、相談者の自己決定権を尊重し、キャリアコンサルティングを行わなければならない。

特定活動非営利法人キャリアコンサルティング協議会『キャリアコンサルタント倫理綱領』

相談者の自己決定権の尊重を示した第10条については、前回の第9条と内容は同じになっています。

第11条(相談者との関係)
  1. キャリアコンサルタントは、相談者との間に様々なハラスメントが怒らないように配慮しなければならない。またキャリアコンサルタントは、相談者との間において想定される問題や危険性について十分に配慮し、キャリアコンサルティングを行わなければならない。
  2. キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティングを行うにあたり、相談者との多重関係を避けるよう努めなければならない。自らが所属する組織内でキャリアコンサルティングを行う場合においては、相談者と組織に対し、自身の立場を明確にし、相談者の利益を守るために最大限の努力をしなければならない。
特定活動非営利法人キャリアコンサルティング協議会『キャリアコンサルタント倫理綱領』

相談者との関係を示した第11条では、ここでも組織内キャリアコンサルタントを想定した内容が追加されました。

第12条(組織との関係)

組織と契約関係にあるキャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティングを行うにあたり、相談者に対する支援だけでは解決できない環境の問題や、相談者と組織との利益相反等を発見した場合には、相談者の了解を得て、組織に対し、問題の報告・指摘・改善提案等の調整に努めなければならない。

特定活動非営利法人キャリアコンサルティング協議会『キャリアコンサルタント倫理綱領』

組織との関係を示した第12条では、前回に引き続き変更追加はありませんでした。

第13条雑則についても、変更はありません。

まとめ

国家資格になってから8年が経過し、資格登録者数も25,518人(2016年)から70,826人(2023年12月末)と増加し、国が当初の目標としていた10万人計画の実現が近づいてきました。

この間に時代は急激な変化を余儀なくされており、人々の働く意識や価値観も多様になってくる中で、キャリアコンサルタントのニーズや期待は高まっています。

こうした背景を受けてか、個人的にはキャリアコンサルタントの人間性や心構えを内包する”在り方”についての言及が特徴的だと感じました。

キャリアコンサルタント国家試験の学科にも、倫理綱領を基にしたキャリアコンサルタントの在り方や姿勢、行動規範については毎回1〜2問出題されています。

前回の倫理綱領とベースは同じですが、今回の特徴となっている組織との関わり方や自己研鑽等については、しっかりと押さえておいた方が良いでしょう。

実技試験についても、倫理綱領で示される概念は反映してきますので、現役のキャリアコンサルタントだけでなく、受験生も改めて一読しておきましょう。

プロフィール
このサイトの管理人
川野 美紗子

Local Career Mate 代表
宮崎県在住のキャリアコンサルタント/インターンシップコーディネーター
若年層の女性管理職の経験を基に、地方✖️女性✖️キャリアに関する情報発信やアドバイス、コンサルティング等を行っている。
個人・企業向けキャリアコンサルティング、実践型インターンシップの企業伴走、キャリア教育や人材支援に関する研修講師やファシリテーター、キャリア記事の執筆などを行なっている。

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